名曲千夜一夜物語-726~"No, woman, No cry"-Thomas Leeb-2007/1973
- Norihiko Yamanuki a.k.a. Bosatsu Beat

- 9月21日
- 読了時間: 3分
更新日:9月21日
Thomas Leebに会ったのは およそ18年前、ロサンジェルスで開かれた
国際楽器見本市"NAMM SHOW"を訪れた時でした。
彼の"Fingerstyle Guitar"はハワイ発祥とされている"Slack-key guitar"を
進化させたもので、
まず、ギターの調律をオープンチューニングと呼ばれる、
開放弦が"Dコード", "Gコード", "Cコード" の構成音になっている調律をします。
彼の場合は"Open Dチューニング"の変種ですが、
その状態で、タッピング、ボディーヒッティング、ハーモニクスなどを組み合わせて
ご覧のように演奏するのです。
目の前で見た時は、ただただ驚きでした。
気さくな性格で今もずっと世界中でワークショップを重ねています
この曲はBob Marleyのレパートリーとして広く知られる曲です。
作曲したの古くからの友人のヴィンセント フォードですが、
70年代当時のジャマイカの不条理な生活に生きる
市民への応援歌となっています。
いいよ、、女性たち、泣かないで
やめよう、みんな、泣かないで
女性たちよ、泣かないで
みんな、泣かないで
だって、だって、だってさ、昔よく座ってた
トレンチタウンの公営団地の敷地内でさ
オバ、ずるい奴らを見張ってたんだ、そうさ
いい人たちと付き合おうね、そうさ
昔からの親しい気のいい奴ら、途中で逝っちまった心優しかったた奴、
良い未来になったからといって、過去を忘れることはできないよ
そう、泣くのをやめて、yeah
いや、女性たち、泣かないで
いや、みんな、泣かないで
幼き子よ、自棄にならずに、泣かないで
女性たちよ、泣かないで
あぁ、言った、言った、そう言った、
昔、トレンチタウンの
公営団地の庭に座ってた時、
そう、ジョージーが火を灯してくれたんだ
夜通し燃える丸太さ。
それでコーンミールのお粥を作るんだって
それをみんなと分けようって言ったんだ。
足が唯一の移動手段だからさ、
だから突き進まなければならないんだよ
でも私がいないくなっても
うまくいくさ、
すべてうまくいくさ、
上手くいくさ、
すべてうまくいくさ
.....
Bob Marleyは36歳という若さで亡くなりました。
その人生は密度が濃く、複層的で
とてもここで書ききれるようなものではありませんので
あえて触れません。
ただ、ここで、アーティスト名を
"Thomas Leeb"で載せたのは、
この曲の思想性や、政治性や、時代性をとりのぞいても、
純粋に音としての美しさがあること、
それを全く異質なアーティストである
Thomas Leebという、白人でヨーロッパ文化~オーストリア~
を背景にしたアーティストが
この曲を別の視点で開花させた、ということに意義を
感じました。
ひとつ付け加えなければいけないのが、
曲名"No Woman No Cry"ですが、
英語とアフリカの言語をベースにしたジャマイカ・クレオール語では、
"No, woman, nuh cry"となり、"nuh cry"は"don't cry"の意味になります。
ここではそのことを意識して意訳しました。
私はシンガポールを第二の故郷と思っていますが、
シンガポール人は普段Singlishを話すことが多く
こちらは英語とマレー語がベースになっています。


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